鉛筆で描くこと 道具 インスピレーション 技術 ハナさんより

ハナ・ロングミュア

1.鉛筆画の道具たち

最近、何回か鉛筆画に使っている画材やテクニックについて質問されることがありました。
鉛筆画について探している情報の役に立つことができればと思い2~3回に分けて書ていきます。
いただいている質問から詳しく書いていこうと思います。

私は、エジンバラ芸術学校(Edinburgh College of Art)の夜間コースで描くことが好きだと再発見しました。

それ以来、ずっと鉛筆画のことが気になるようになったのです。
学位はアートではなく、神学です。
卒業後、メキシコに旅行に行き、たくさんお金を使い、スコットランドに帰ってきて国立図書館に就職しました。

夜間コースでは、ポートレイトを学び、クラブで風景画を描いていました。
再び、描くことが好きだという思いにあふれ、情熱的に取り組みました。
一日中ずっとそのことを考え、空いている時間は練習を続けました。
(いくつかのとんでもなく散らかった課題に我慢していたフラットメイトのサラに素直に叫びました)

特にバイローボールペン、水彩画材、オイル・パステルが好きですが、鉛筆で描くことに魅了され続けていました。
ある日、ふと、これをやっていこうと思い、引っ越すことにしたのです。

たぶん、たぶんそうじゃないかも。

フルタイムで絵を描くため、図書館を辞め約9年になりますが、描くことへの愛は大きいままです。

いろいろな種類の鉛筆や紙を試してみました。
それぞれ、いろいろな表現ができることを知りました。
その中から使いやすく、気に入った鉛筆や紙を見つけました。

Pencils(鉛筆)

私の鉛筆画の描き方は、小さな線を数千本と描き重ねていきます。-基本的にハッチングやクロス・ハッチングです(描き方のテクニックについては次回ブログに書きます)
エッチングに似ています。
だから鉛筆は、適度に固く、細書きが好きです。

断然好きな鉛筆は、ペンテル・シャープレット2.0(Pentel Sharplet 2.0)の0.5HBです。
いつもひとまとめに買っています。
持ち手の端に小さなラバーのあるメカニカルな鉛筆です。
削る必要はありません!
使いやすく、快適
いつでも描けるように何本かバッグに入れたり、部屋に置いています。
芯も補充できます。

鉛筆は素晴らしく付き合いやすい道具です。
必要な時にだれでもすぐに使うことができます。
表現豊かに、精密に描くことができるとても使い道の多い道具です。
鉛筆への本当に少しの不満といえば、すぐ出来てしまうことぐらいです。
乾くのを待つこともなく、上手くいかないときは消しゴムで消せばいいのですから。
シンプルで、ごまかしのきかない

Paper(ペーパー)

できる限りなめらかな紙質のものが好きです。
ヘビー・ホワイト紙を選んでいます-写真たての裏に使われているような台紙
紙の重さは描くときに安定感があり、耐久性もあって気楽に使えます。
(以前、ほぼ描き終わった絵をマンゴーチャツネの水たまりに落としたことがありましたが、大丈夫でした)

水彩画材にも十分使えます。
フレーマーの切れ端や巨大なA1シートを買い、分割しています。

Watercolour(水彩絵の具)

最後に水彩絵の具についてです。
私はまったくもって画家ではありません。
純粋に色をつけるために水彩絵の具を使っています。

描く上でのフォームや構成はすべて鉛筆でやっています。
鉛筆で描いたところをすばやく拭きます(鉛筆で描きあげる時間は30時間にもなるので、少しはらはらしながらやっています)
それから水彩絵の具で色付けをします!
細かくしすぎることはありません。

いくつかの道具たち、良い形をしています
これが私の使っている道具です。

2.インスピレーションを受けたもの

このパートでは、描くときにインスピレーションを得ているものやどのような素材を使って描いているかについて書きます。

インスパイア―されるものは簡単に見つけられますが、工房に戻ってそのインスピレーションを受けた部分を引き出して描いていくチャレンジが始まります。

カントリーサイドで暮らすわたしがインスパイア―を受ける身近な環境は、フィールド、生け垣、森林、ガーデン、川、そこにすむ動物たちです。

それらについて詳しく知りたいと思っています。

わたしの好きなものは、冬の木々のシルエット、紅葉、ミツバチ、バッタ、タンポポの綿毛、霧のかかった朝、水面に映り込む景色、葉についた霜。

これらに出会ったとき、うれしくなり、心躍りだします。

私たちは、とても大きくてうるさいプードル犬のバディを飼っています。

今、8歳ですが、毎日かなりの距離の散歩に連れて行っています。

バディはワイルドライフにとってほとんど良いことはしないけれど、天気がどうであろうと外へ連れ出し、いろいろなラブリーな光景を見せてくれます。(川にカワウソがいるが、バディと一緒に一度も見たことがありません)

外出制限の中、家にいる時間が長くなっているので、紅茶を飲みつつインスパイア―されたものを思い返しています。

散策にでかけるとき、常にカメラを持ち、ときどきスケッチブックを持っていきます。

たくさん写真を撮り、家に帰って気づいたことや調べたことをノートにメモします。(鳥の羽や落ち葉など持って帰ることもあります。マガモの羽を18か月間、車のダッシュボードに置いていたこともありました)

実物を見ることは描くときにとても役に立ちます。

最も多かった質問のひとつに”写真を見ながら絵を描きますか?”というのがありました。

答えは、イエス。

スケッチブックにはささっと描きますが、本格的に描くときは写真で確認しつつ、より細密に描いていきます。

より良い仕上がりにしていくために数枚の角度の違った写真を見比べながら描いていきます。

絵を描いていくうえで、たくさんの素材を持っておくことは良いことです。

たくさんの写真を日付とカテゴリー(春や森林など)に分けて保存しています。

膨大な写真や素材のおかげでアイデアが尽きることはありません。

実際、アイデアがありすぎて描く時間が足りないほどです。

いつもやっているスケッチブックへの描写は、とても良い修練になっています。

定型のものだけで描くより、初心に戻って、少し実験的な試みをしたりしています。

日常生活で気づいたことや自然を歩いて観察したこと書き、日記を付けるようにスケッチブックを使っています。

今年は家の近くの森林にある2本のセイヨウトチノキについてスケッチ・ダイアリーをつけることにしました。

2本の木の成長過程を観察し続けることはとても楽しいことです。

自然に関する本や雑誌をよく読みます。

ワイルドライフについてできるだけたくさん学びたいと思っています。- 描いている対象についての知識をゆっくりと積み上げている感じです

鳥やワイルドライフの権威になりたいわけでなく、学びたい一心、情熱からです。

集めている自然に関する本や伝記は、ほとんど古本屋で見つけたときに買っています。

本で気づいたことや雑誌の切り抜きをスケッチブックに貼っています。

人は手段を得て以来、まわりの世界で起きている変化は記録する必要があるようです。

インスピレーションを受けた季節の変化がいくつかあります。(押し花や卵の収集など)

描くことは、自然を学ぶのに素晴らしいやり方だと気づきました。

鉛筆で描くことは、プロセスがゆっくりなため、その対象について調べる時間を持てます。

描くことがしばらく頭にあったとしばしば気づきます。

描くのに必要な素材が集まるまで待ち、その一片から全体をイメージして描いていきます。

キノコを描いたときは、ロックダウンの間に仕上げました。

森林で撮った2枚の写真と本からネズミをイメージし、合計3つの素材を組み合わせて描きました。

インスピレーションを受けたものをスケッチしたり、記録したりすることは参考になったでしょうか。

次回は、鉛筆で実際に描くときのテクニックについて書こうと思っています。

お楽しみに。
Take care!

3.技術編

鉛筆画は、画材の表面に線描していくことがベースとなります。

どんな線描を、どんな表面に。

伝えたいストーリーをインスパイヤ―を受けた画材に線描で表現します。

私は、これまでたくさんの線描、たくさんの画材に描いてきました。

ミシンで紙に描いたこともありますし、ステッチと絵の具で布生地に描いたこともあります。

丸形パンチ・イジェクトで作った小さな丸いドットを使ってコラージュを作ったこともあります。

16歳のとき、カレッジで、吸い殻を染め、家の壁のように縫い付けたこともありました。

たくさんの線描をたくさんの画材に描いていきたいと思っています。

今回、とっても大好きにな鉛筆画を、これまで描いてきたものを使ってその描き方について記します。

大きな鉛筆画をひとつ組み立てるのにどうするかお話ししましょう。

これは、構成とテクニックの話になります。

わたしの作業は、細かく、コントロールしつつ、とてもゆっくりなものです。

鉛筆を使ってより広く、多くの表現ができるので、みなさんにとっても鉛筆で描くことへの確かな励ましになるだろと思います。

レイアウト(THE LAY OUT)

よく聞かれる質問のひとつに ”絵を描きあげるまでにどのくらい時間がかかりますか?” があります。

答えは、当然、絵の大きさや複雑さによります。

2時間くらいでできることもあれば、たくさん、たくさん、たくさん時間がかかることもあります。

例えば、リトル・タービン・ハウスを描いたときの場合、このときは妊娠中で赤ちゃんが出てくるのを待っている時期でした。

他にする仕事がなかったので、描きあげるまでの時間を計るのは簡単で、合計で約30時間かかりました。

大きさは43cm×28cmです。

リトル タービン ハウス

30時間の内訳で重要な時間は、描き始めのレイアウトを決めるときです。

描きたいもののレイアウトを時間をしかっりとかけて描き、それからとても退屈でフラストレーションの溜まるラブリーな線描を描いていきます。

異なる材料を組み合わせ、大きくて複雑なものを作るとき、レイアウトを描くのに1時間以上かかります。

画題にエキサイトしてはしゃいでいるときは、5分でラフを描きあげることもあります。

1時間後、失敗した紙のテンプレートで動きがとれなくなり、はぐれブルーティットをどこに位置づけしようかとまだしていることもあります。

プロセスもとても重要です。

11時間もうまく描けないことをしたくないので、キツネの鼻先ほどの隙間もないようなところを見つけ、もしくは、遠くの道を目を細めて見つけるように。

描く前にしっかりとプランを立てて始めます。

特に複雑な描写のとき、すべての要素のテンプレートを作り、チェックのためにレイアウトし、その構図を確認しつつ、全体図を見ながら進めます。

メインを描きだしていきます。

描いていくプロセスで描いたものを消しつつ進めていくこともあります。

描く前に全体図を把握しておくことは、一部分を描くときにも全体を意識することになります。

一番明るい所と一番暗い所を見分けることができるようになります。

ネガティブ・スペースをナイスに、クリーンになるように気をつけています。

形や手ざわりが、一部分の焦点になることもあります。

きのこの集まりを描いたときの途中経過で説明すると、描き残しのところは下書きから細かく描いていきます。

台紙の左から右へと描いています。

ファースト・マーク (FIRST MARKS)

真っ新な紙より怖いものは何もないと言われています。

絵のレイアウトができたら、怖いものはありません。

掘り下げてみましょう!

わたしは、ページの左上から右下へと計画的に描く方法を選んでいます。

鉛筆で描いたところを手でこすると簡単にしみよごれが大きくなります。(私は右利きです)

この問題を解決するために描いたところをシートなどでおおい、守るようにして描く人もいますが、私は左から右にゆっくりと描くようにしています。

レイアウトに沿って小さな線描を数千本も描いて仕上げていきます。

ジグザクや刺繍のような小さな線描です。

めいめいの線描やスティッチは、それ自体意味のないものですが、積み重ねていくうちにイメージしているものが出来上がってきます。

もちろん、もっと暗めにしたほうがいいところやもっと細かく描いた方がいいところは線描を細かく重ねていきます。

基本的にハッチングとクロス・ハッチングのとてもシンプルな技法で描いています。

この技法はもともと3Dで素早く認識するためプランを立てて絵を描く彫刻家らが使っていたり、エッチングのプリント・メーカーで広く使われていたりしている古い技法です。

ハッチングは明るさと暗さを描写するため、互いに並ぶように平行線を描いていきます。

クロス・ハッチングは、濃い部分を作るためハッチングを交差して線を描いていきます。

より濃い部分は、より暗い部分となります。

線だけで画題の質を上げることができます。

鉛筆でしたいことは、見たものを表現することです。- 光と闇、地球のかたち、手ざわりなど

2Dの建造物を作っている感じです。

ハッチング技法は、細かく表現するため、線の長さや線の密度、量、間隔、交差するアングル、方向、線の固さや流れ、といったいろいろな線を使い分けていきます。

鉛筆でいろいろな手ざわりのものに表現するにはどうしたらいいかを考えるのが、とても楽しいです。

柔らかいもの、固いもの、クリアーなもの、固形、光沢のあるもの、ごわごわした毛など

絵の表現の質を高めるために最適な線を選んでいかなければなりません。

選んだ線は、何時間にも及ぶ練習で得たものです。

選んだ線描が絵のストーリーを語り、命を与えるのです。

確かな線描を選んでいくことが、画題の美や本質について感じていること、表現していくことになります。

ここに線描のサンプルを紹介します。

これは、数年前にカワウソと水面に反射する草らを描いた”川の感触 Texture of the River”という題名の絵です。

水面にいろいろなものが反射しているのを表すため、異なる方向へ引いた緩い線や有機的な線を結合させています。

カワウソが枝や草の上にいるところを表しています。

水に動きがあり、カワウソはじっとしていますが、そこに生きものたちが住んでいます。

全体が穏やかなシーンです。

細かい小さな線描を重ねているところや空白の部分を残して表現しています。

上手く表現できているかのジャッジはみなさんにおまかせします!

色付けする (ADDING COLOUR)

水彩画のウォッシュ技法で鉛筆画に色をつけます。

道具のときに言ったように、水彩絵の具を使った時にゆがんだりしないしっかりしたマウント紙を使います。

鉛筆で描き終えた後、最後の仕上げに色付けをします。

水彩画を描いているのではなく、鉛筆画を描いているからです。

わたしは画家(painter)ではありません。

色付けは絵を引き立て、鉛筆画の要素とは切り離し、物語が伝わるようにしています。

色付けはできるだけ最小限にしています。

色付けがときどきぴったり合ったり、ときどき多すぎたり、少なすぎたりします。

鉛筆で絵を描くことにたくさんの時間がかかった後、色付けをするのが少しこわくなります。

鉛筆は消すことができます。

色付けすると消せません。

水彩絵の具で色付けすると確かにだいなしになることもあります。

でも、やってみて、ベストだと信じて!

鉛筆画についてのリトル・ガイドが少しでもお役に立てれば幸いです。

絵を描いているときは時間の経ち方が違います。

時間が消え去ります。

1歳児を楽しませている今は、そんなラブリーなボーっとした場所に行くことはできません。

絵を描くことは幸せ!

質問や疑問、提案などありましたら、どうぞお寄せください。

ハナより×

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